虎の事件簿

No.32 アリアスの背後を通過した大暴投は大乱闘へ

2002年7月25日対巨人18回戦(甲子園)。巨人・入来祐作、阪神・ムーアで始まったこの試合。初回、二死満塁のピンチをムーアがきりぬけると、その裏、アリアス、濱中おさむの連続タイムリーと、平下晃司の移籍後初となる本塁打で阪神が4点を先制。
その後6回に巨人に1点を許すもムーアの粘り強いピッチングで試合は進み、4−1で迎えた7回裏に事件は起こった。


2アウトランナーなし。打席は四番のジョージ・アリアス。
入来の初球は、アリアスの背後を通りバックネットへ到達する大暴投。アリアスは何やら言いながらマウンドへ向かう。すると、入来もグラブを地面に投げつけファイティング・ポーズで挑発。友寄球審の制止を振り切り突進するアリアスに続き、両軍ベンチやブルペンから選手が飛び出し、ベンチはカラッポに。


当事者同士だけでなく乱闘の輪は広がる。
まずは巨人・村田真一バッテリーコーチを羽交い締めにする島野育夫ヘッドの姿を見つけると、星野仙一監督は村田コーチの胸ぐらを締め上げる。


そして次は"番長"清原和博。左ふくらはぎの違和感でこの日の試合は欠場の清原、当時はトレーナー室で針治療中。慌てて黒いアンダーシャツのまま参戦するも、広澤克実がそれを制止。三塁側ベンチ前の押し問答の様子に星野監督が再びエキサイト。清原の襟のあたりをつかんで広澤から引き離す。
「針で出遅れてしもうた。おかげで状況が全然分からへんかった。入来に悪いことしたわ。」と試合後、清原は苦笑。


「あれがすっぽ抜けならファームに行け。グラブまで叩きつけるとは何事だ。」(阪神・木戸克彦コーチ)
「怒るような球じゃないだろ。」(巨人・鹿取義隆ヘッドコーチ)
「おれは止めに入ったのに逆に周りに止められた。」(阪神・松山秀明コーチ)
「そりゃ怒るやろ。1球目からあれだけ背中を通されたら怒るのが当たり前や。両者退場?それやったらいくらでもできる。こっちがボロ投手を出して、たとえば松井にわざと背中を通して怒らせりゃいい。そしたら松井も退場やろ。」(阪神・星野仙一監督)


結局、入来は危険球、アリアスは威嚇行為により両者退場となる。
その後乱闘でリズムを崩したかムーアが松井に一発を浴び、9回表にはバルデスが打たれ試合は4−4の同点に。
しかし阪神は最後まであきらめない。9回裏、先頭の矢野輝弘がヒットで出塁。赤星憲広がヒットで続くと、田中秀太が歩かされ一死満塁の大チャンス。
そして途中出場の沖原佳典の打球は二塁手の頭上を越えてライト前へ。前日に続く2試合連続のサヨナラ勝利を決め、阪神ベンチは再び空っぽになった。


入来祐作(いりき・ゆうさく)

1972年8月13日生まれ/右投右打/
PL学園−亜大−本田技研−巨人(1997年ドラフト1位)−日本ハム
お兄さんの入来智もプロ野球選手で、2001年には兄弟でオールスターゲームに出場。
2003年オフには代理人交渉を求めていた最中に日ハムへのトレードが決まり、「代理人交渉を求めたため"懲罰トレード"に出された」と巨人を非難する声明文を発表した。
それに対し巨人側も「弁護士から球団に『入来選手は来季オフのポスティングを希望している。そういう条件に応じてくれる球団へのトレードを求めている。この件については自分が代理人であり、本人とは連絡を取らないでほしい』とのファクスが球団に届いた。」などと暴露。
なんだかんだのドタバタ劇で結論がなかなか出ず、トレード相手の日本ハム・井出竜也外野手は気の毒だった。


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