虎の事件簿

No.31 中日球団職員バス乱入事件

2002年5月26日 対中日10回戦。ナゴヤドームで行われたこの試合は、阪神・星野伸之、中日・朝倉健太の先発で始まった。
3回に関本健太郎のプロ入り初となるホームランで阪神が先制、6回にはアリアスの3ランで朝倉をKO。7回には今岡誠のタイムリーで点を加える。
投げては先発・星野が緩急を巧みに使い、7回にふくらはぎを痛めて降板するまで、中日打線に許したヒットはわずか3本。5−0とワンサイドで試合が進んだ9回表のことだった。


ノーアウトランナー1塁。打席の矢野輝弘は、1球目をセーフティーバントの構えから見逃してストライク。
そのときだった。中日の捕手・柳沢裕一が「5点差もあってセーフティーバントか」とつぶやいたのだ。これに対し「うちの作戦をとやかく言われる筋合いはない」と矢野も反応。すると更に柳沢が「これはひとり言ですから聞き流して下さい」。
そうやり合う間に参戦したゴメスが矢野の胸を手で突き、両軍ベンチから全員が飛び出す事態へと発展。もちろん星野仙一監督もベンチを飛び出し、あわや乱闘騒ぎに発展するところだったのだ。


結局試合は6−0で阪神の完封勝利。中日は連続零封負けで4連敗となった。
事件はその試合後に起こった。
選手たちが帰途につく阪神のバスを止め、一人の男が乗り込んできて、星野監督に事情説明を求めにきたのだ。
乗り込んで来た男は、中日球団職員、企画事業部主任の山本哲也氏(当時34歳)。

山本氏「ファンから抗議の電話への対応が大変なんです」
星野監督「それが仕事じゃないのか」
山本氏「試合を止めたのは矢野さんではないか。自分は一野球ファンとして来ました。」
星野監督「一野球ファンがバスに乗り込んでそんなこと言うんか!何を言うとるんや!」

このようなやりとりがバスの中で行われ、星野監督の怒りは一気に爆発。すさまじい形相で怒鳴りつけるのを、田淵チーフ打撃コーチは顔を青ざめて駆け寄り、止めに入ったという。


騒動の後、阪神側は上田管理部長が電話で抗議。中日の伊藤球団代表が「失礼きわまりないです。」と謝罪。騒ぎを起こした山本氏にも事情聴取した上で厳重注意。30日には伊藤球団代表が甲子園球場を訪問、星野監督と野崎勝義球団社長に正式に謝罪したそうだ。


山本哲也(やまもと・てつや)

中日球団職員/高知高−中大
大学時代は硬式野球部に所属したらしい。
あの天覧試合で村山実投手とバッテリーを組んだ山本哲也氏と同姓同名ではあるがまったくの別人だ。


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