虎の事件簿

No.9 2時間30分の中断、そして試合中止

1964年6月30日対広島戦(広島球場)二回裏、広島は無死一塁二塁とチャンスを作る。広島は続く阿南準郎にバントのサインを出す。
しかし阿南はバントをし損ね、小フライを打ち上げてしまう。
投手の石川緑は、この小フライを捕り、一塁のベースカバーに入った鎌田実に送球。そして鎌田はすかさず二塁に送球。この結果、トリプルプレーが完成したかに思えた。


最初、球審の稲田茂は石川は直接捕球していない、つまりショートバウンドで捕球したと判定した。これに対して阪神が抗議すると、審判団が協議し、直接捕球したと判定を変更。
こうなると今度は広島が黙っていない。広島は「稲田球審がフェアと言ったから、走者は次の塁へ走った。トリプルプレーはあり得ない。」として、選手をダッグアウトに引き揚げさせ、最初の判定に戻さないと試合再開には応じられないと、断固たる態度を見せた。
互いの主張は平行線をたどったまま時間が過ぎる。審判団から「一死一塁二塁で再開してはどうか」という折衝案も提示されたが、阪神側が納得しなかった。


結局、問題が解決できないまま約2時間30分もの中断の後、午後9時52分、試合再開不可能との理由から試合中止になった。
長時間待たされたあげくの試合中止の結果に、ファンが激昂。グラウンドに大勢のファンがなだれ込み、機動隊が出動する騒動にまで事態は発展した。
この騒動により球場施設の一部が壊されるなどの被害があり、翌日7月1日、翌々日7月2日の広島戦も中止になってしまった。
ちなみに、2時間30分の中断はプロ野球史上最長の中断記録である。


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